フジXpro2 中感度域までならフルサイズ機に匹敵 

 すでにXpro3が出ていますが今回取り上げるのは、お買い得の型落機・Xpro2、APS機です。フジフィルムのデジカメは、本機を含めてこれまで4台使用してきました。XE-1、Xpro1、S5proも所有していましたが、結局本機だけが手元に残りました。

 

【名機コンタックスGシリーズやM型ライカに通じるデザイン】

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フィルム時代の名機、コンタックスG1やG2を彷彿させるデザインです。

 フィルムカメラ時代からのカメラ好きに、「デザインが良いと思うカメラを3つ挙げて下さい。」と尋ねれば、ライカM4や、コンタックスのG1・G2辺りを挙げる方も多いと思います。

 Xpro2はM型ライカやGシリーズを意識したとしか思えないデザインで、古き良き時代の「写真機」という顔立ちをしています。レトロ感と高級感が両立しており、フィルム時代からのカメラ好きなら条件反射的に飛びついてしまうと思います(私もそうでした)。

 実際に手にして撮影してみても、適度な剛性感と重さがあり、シャッター音もフィルムカメラのモータードライブ音を彷彿させる、機械的な小気味良い音がします。所有する喜びも十分に味わえると思います。

 

【ISO1250までなら、等倍観賞にも堪える】

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①ISO3200の作例。ここまで感度を上げると、等倍だとノイズが気になりますが、PCの画面や四つ切程度にプリントしての鑑賞には問題無いと思います。

 APS機よりも高価で重いフルサイズ機を使うメリットとして、「高感度域でのノイズの少なさ」も挙げることができると思います。

 結論から述べさせていただくと、「とにかく夜景を少しでも綺麗に撮りたい」、あるいは「ISO1600以上を常用している、等倍での画像確認も行う」という志向をお持ちで、資金にも余裕がある方なら、最初から2500万画素程度までのフルサイズ機を買った方が無難だと思います。

 本機の場合、個人的にはISO1250程度までなら等倍観賞にも十分に堪えられる画質だと感じました。他社のAPS機との比較なら、フジXシリーズの高感度画質は半歩頭抜けた印象を受けます。高感度域でこれ以上の画質を望むのならフルサイズ機にするしかない、との感想を持てるぐらい、Xpro2の高感度ノイズの処理は上手いと思います。

 

【評判のアクロスモード】

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②アクロスモードで撮影。高感度フィルムのようなザラつきが顕著に出ます。

 

③儚い雰囲気のある物は、アクロスで撮りたくなります。

 フィルムシミュレーションが評判のXシリーズですが、ユーザーから特に評価されているのが、アクロスモードです。富士フィルムが出している、モノクロフィルム「ACROSS」の描写を再現したモードです。

 私もフィルムカメラ時代、「ACROSS」を何度か使ったことがありましたが、当時は正直なところ他の銘柄のモノクロフィルムとの違いがよく分からず、あまり思い入れはありませんでした。しかし、Xpro2のアクロスは愛用しております。

 アクロスモードは低感度でもノイズが出ますが、ざらついた感じのもので、昔の高感度フィルムの粒状感を再現したものと思われます。薄暗いところでISOを上げて撮ると粒状感もより目立つようになり、荒々しいが、どこか儚い雰囲気に写ります。これで若い女性のポートレートなどを撮る気にはなれませんが、私は綺麗なものを綺麗に撮ることだけが写真ではないと考えております。

 日没が迫った時間帯の公園など、さびしい雰囲気のある場所を撮る時は、アクロスモードの出番です。

 

【動体撮影には分が悪い?】

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④動きモノには少々厳しい?

自衛隊航空祭での1枚。超高速で飛行する戦闘機は本機では追い切れず。駐機中のF2を撮影。

 本機はXpro1での不満点を解消する形で登場した機種です。1でよく指摘を受けていた動体撮影の弱さも改善されていますが、「何でも撮れるようになった」とまではいかなかったようです。

 自衛隊航空祭に本機を持ち出したことがありますが、超高速で飛ぶ戦闘機は追いきれませんでした(私の腕が悪いせいでもありますが。なお、周りにはニコンのD500をお使いの方が多かったです)。動きの速い被写体を撮る場合、AF追尾性能だけでなく、秒間撮影コマ数や、そして何よりも連続撮影可能枚数(バッファ容量)も必要です。

 D500の連続撮影可能枚数はRAWで200枚(!)ですが、本機はRAWで27枚、JPEGでも83枚に止まります。これらの枚数に達すると、データ書き込みのためしばらくシャッターが切れなくなります。高速で動く被写体の場合、どうしても、「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」で保険をかけたくなります。超高速で移動し、急な進路変更もする戦闘機を撮りたい方は、最初からD500あたりの機種を選ぶことをお勧めします。

 もっとも民間機なら本機でも対応できます。超高速の被写体を撮らないのなら、Xpro2で十分に満足できると思います。

 

【中感度域までならフルサイズ機の代わりにも 動き物には少々厳しいが、所有する喜びも味わえる】

 高価で重いフルサイズ機を使うメリットは主に、①夜景等、高感度域での撮影時にノイズを抑えられる ②色味の深さ ③トリミング耐性の良さ ④RAW現像時の耐性の良さ

 以上ではないでしょうか。

 逆に言えば、上記4点に拘らないのなら、わざわざフルサイズ機を購入する必要もないということになります。

 本機の場合、①については、ISO1250までなら等倍鑑賞にも堪えるレベルです。等倍画像に拘わらなければ、ISO3200でも十分見れます。フジXシリーズの場合、ノイズ処理が良いのか、高感度域については他社のAPS機よりも好印象です。

 次に②についてですが、確かに色の諧調はフルサイズの方に幅を感じます。しかしXシリースには多彩なフィルムシミュレーションがあります。通常ならどれか一つは自分の好みに合う色が見つかると思います。客観的に見ればフルサイズの後塵を拝するかもしれませんが、ユーザーそれぞれの好みの色を見つけやすいのも、Xpro2のメリットだと言えます。

 ③④についてはフルサイズの高画素機の方が幅が・・という感はあります。しかし、③については、高画素の撮像素子に見合うレンズ(高い・大きい・重い)が必要になります。プロならともかく、私のような写真趣味の薄給サラリーマンが細かくこだわるのはあまり現実的ではないかと・・・ ④に関してもどうしてもRAWから自分の好みの画像に仕上げたいという方ならともかく、JPEGメインのユーザーなら、フィルムシミュレーションで十分にカバーできると思います。

 

 超高速で移動する被写体は撮らないし、中感度域までを常用している。でも名門ライカの代わりになるようなデザインのカメラが欲しい、という方には、フジXpro2は十分にお勧めできる写真機です。

 

神戸 メリケンパーク by taka-tanaka (ID:8468703) - 写真共有サイト:PHOTOHITO

上記作例の等倍画像を確認されたい方は、こちらからどうぞ。③以外はご確認いただけます。なお使用レンズは②はコシナの25mm・f4で、その他はフジXF27mmf2.8です。