コダックブルーの空

 

オリンパスE-300 M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6  コダックブルーの空。

ペンタックスK200D smc PENTAX-DA 40mm F2.8 Limited ペンタックスブルー E-300が油絵具なら、こちらは青インクのような濃さです。

 ニコンD40でCCD機の出す青色にハマって以来、いろいろな機種を試してみましたが、今回はオリンパスE300を取り上げます。2004年12月に発売された、800万画素フォーサーズサイズ(APSよりも撮像素子の面積が小さい)のCCDセンサー機です。かなり時間が経っていますが、現行のCMOSセンサーとは異なり、昔のフィルム写真のような描写を味わえます。

 

ペンタ部がありませんが、ミラー一眼です

E-300。25mmパンケーキレンズ装着。

【デジタル一眼黎明期の独特のデザイン 感触もなかなか】

 デジカメ黎明期らしい、従来のフィルムカメラのイメージとは大きく異なるデザインです。ペンタ部はありませんが、れっきとしたミラー付一眼です。シャッターを切る度にシャッター音とミラー昇降音が鳴りますが、フィルムカメラのモータードライブ音とよく似ています。なかなかカッコいい響きを堪能できるため、無意味に空シャッターを切ることも多いです。

 手にした時の感触も前回取り上げたXpro2程ではありませんが、そこそこ剛性感があり、安っぽい感じはありません。

 

【伝説のコダックブルー?】

③必ず「濃い青」が出るわけではないようですが、これはこれでありかと。 M.ZUIKO DIGITAL 14-42mm F3.5-5.6 

④空の部分の色彩の幅は、豊かな印象です。ズイコーデジタル25mmF2.8

 ネットで、「E-300」や「コダック製CCD」等のワードで検索すると、必ず、「コダックブルー」という言葉とともに、青空を撮った写真がヒットします。私もマイナス補正気味にし、いろいろなモードで空を撮ってみたのですが、必ず(私が求めるような)こってりした青色が出るわけではないようです。D40ペンタックスK200D(②の作例も参照ください)の方が、濃厚な青色を出してくる確率は高いように思います。これらの2機種を試した後でE-300を使った私には、「コダックブルー」に対して特別なものを感じることはできませんでした。

 コダックブルーとは、まだ他の機種が出そろっていない頃だからこそ出てきた言葉のような気がします。濃厚な青色を求めている方には、D40K200Dの方が良いかもしれません。

 とはいえ、決して本機がD40等の後塵を拝するわけではありません。作例③④のように、フィルムカメラで撮った写真に近い、しっとりとした雰囲気の画を撮ることができます。この2枚はSNSにも上げましたが、たくさんの人から「いいね」をいただきました。

 

【18年前の機種にして超音波式センサーダスト払落機能とピクセルマッピングを備える】

 本機の最大の特徴はSSWF(スーパーソニックウェーブフィルター)によるセンサーダスト払落機能とピクセルマッピングを備えていることです。デジカメで撮影した画像を確認すると、シミのような黒い点(センサーダスト)が写り込み、大事な場面の写真だとショックを受けることがあります。SSWFはオリンパスが特許を持っており、他のメーカーではパナソニックのカメラにしか搭載されていないと言われています。他にセンサーシフト方式(超音波によるものではなく、撮像素子を機械的にぶるぶる震えさせて埃を払い落とす機能)もありますが、私の経験則上、SSWF搭載機の方がはるかに効果は大きく、安心して撮影することができます。

 また、ピクセルマッピング機能も強みです。カメラを長く使っていると、撮像素子の画素の一部が欠け、撮影した画像の一部に白や赤の点が現われることがあります。ピクセルマッピングを使えば。これらを補正することができます。現行機の中でもこれを搭載せず、メーカーのサービスセンターに持ち込んでも有料対応になるケースもあるようなので、大変ありがたい機能と言えます。

 現行機種でも上記機能を両方とも備えた物は多くありません。18年前発売の機種が機能的に現行機に勝る部分を持つというのは、当時の開発者の先見の明が感じられ面白い話です。  

 

今回の作例の等倍画面のご覧になりたい方はこちらから(②以外はご確認いただけます)

須磨海岸 by taka-tanaka (ID:10863947) - 写真共有サイト:PHOTOHITO

 

 

 

 

 

フジXpro2 中感度域までならフルサイズ機に匹敵 

 すでにXpro3が出ていますが今回取り上げるのは、お買い得の型落機・Xpro2、APS機です。フジフィルムのデジカメは、本機を含めてこれまで4台使用してきました。XE-1、Xpro1、S5proも所有していましたが、結局本機だけが手元に残りました。

 

【名機コンタックスGシリーズやM型ライカに通じるデザイン】

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フィルム時代の名機、コンタックスG1やG2を彷彿させるデザインです。

 フィルムカメラ時代からのカメラ好きに、「デザインが良いと思うカメラを3つ挙げて下さい。」と尋ねれば、ライカM4や、コンタックスのG1・G2辺りを挙げる方も多いと思います。

 Xpro2はM型ライカやGシリーズを意識したとしか思えないデザインで、古き良き時代の「写真機」という顔立ちをしています。レトロ感と高級感が両立しており、フィルム時代からのカメラ好きなら条件反射的に飛びついてしまうと思います(私もそうでした)。

 実際に手にして撮影してみても、適度な剛性感と重さがあり、シャッター音もフィルムカメラのモータードライブ音を彷彿させる、機械的な小気味良い音がします。所有する喜びも十分に味わえると思います。

 

【ISO1250までなら、等倍観賞にも堪える】

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①ISO3200の作例。ここまで感度を上げると、等倍だとノイズが気になりますが、PCの画面や四つ切程度にプリントしての鑑賞には問題無いと思います。

 APS機よりも高価で重いフルサイズ機を使うメリットとして、「高感度域でのノイズの少なさ」も挙げることができると思います。

 結論から述べさせていただくと、「とにかく夜景を少しでも綺麗に撮りたい」、あるいは「ISO1600以上を常用している、等倍での画像確認も行う」という志向をお持ちで、資金にも余裕がある方なら、最初から2500万画素程度までのフルサイズ機を買った方が無難だと思います。

 本機の場合、個人的にはISO1250程度までなら等倍観賞にも十分に堪えられる画質だと感じました。他社のAPS機との比較なら、フジXシリーズの高感度画質は半歩頭抜けた印象を受けます。高感度域でこれ以上の画質を望むのならフルサイズ機にするしかない、との感想を持てるぐらい、Xpro2の高感度ノイズの処理は上手いと思います。

 

【評判のアクロスモード】

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②アクロスモードで撮影。高感度フィルムのようなザラつきが顕著に出ます。

 

③儚い雰囲気のある物は、アクロスで撮りたくなります。

 フィルムシミュレーションが評判のXシリーズですが、ユーザーから特に評価されているのが、アクロスモードです。富士フィルムが出している、モノクロフィルム「ACROSS」の描写を再現したモードです。

 私もフィルムカメラ時代、「ACROSS」を何度か使ったことがありましたが、当時は正直なところ他の銘柄のモノクロフィルムとの違いがよく分からず、あまり思い入れはありませんでした。しかし、Xpro2のアクロスは愛用しております。

 アクロスモードは低感度でもノイズが出ますが、ざらついた感じのもので、昔の高感度フィルムの粒状感を再現したものと思われます。薄暗いところでISOを上げて撮ると粒状感もより目立つようになり、荒々しいが、どこか儚い雰囲気に写ります。これで若い女性のポートレートなどを撮る気にはなれませんが、私は綺麗なものを綺麗に撮ることだけが写真ではないと考えております。

 日没が迫った時間帯の公園など、さびしい雰囲気のある場所を撮る時は、アクロスモードの出番です。

 

【動体撮影には分が悪い?】

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④動きモノには少々厳しい?

自衛隊航空祭での1枚。超高速で飛行する戦闘機は本機では追い切れず。駐機中のF2を撮影。

 本機はXpro1での不満点を解消する形で登場した機種です。1でよく指摘を受けていた動体撮影の弱さも改善されていますが、「何でも撮れるようになった」とまではいかなかったようです。

 自衛隊航空祭に本機を持ち出したことがありますが、超高速で飛ぶ戦闘機は追いきれませんでした(私の腕が悪いせいでもありますが。なお、周りにはニコンのD500をお使いの方が多かったです)。動きの速い被写体を撮る場合、AF追尾性能だけでなく、秒間撮影コマ数や、そして何よりも連続撮影可能枚数(バッファ容量)も必要です。

 D500の連続撮影可能枚数はRAWで200枚(!)ですが、本機はRAWで27枚、JPEGでも83枚に止まります。これらの枚数に達すると、データ書き込みのためしばらくシャッターが切れなくなります。高速で動く被写体の場合、どうしても、「下手な鉄砲数打ちゃ当たる」で保険をかけたくなります。超高速で移動し、急な進路変更もする戦闘機を撮りたい方は、最初からD500あたりの機種を選ぶことをお勧めします。

 もっとも民間機なら本機でも対応できます。超高速の被写体を撮らないのなら、Xpro2で十分に満足できると思います。

 

【中感度域までならフルサイズ機の代わりにも 動き物には少々厳しいが、所有する喜びも味わえる】

 高価で重いフルサイズ機を使うメリットは主に、①夜景等、高感度域での撮影時にノイズを抑えられる ②色味の深さ ③トリミング耐性の良さ ④RAW現像時の耐性の良さ

 以上ではないでしょうか。

 逆に言えば、上記4点に拘らないのなら、わざわざフルサイズ機を購入する必要もないということになります。

 本機の場合、①については、ISO1250までなら等倍鑑賞にも堪えるレベルです。等倍画像に拘わらなければ、ISO3200でも十分見れます。フジXシリーズの場合、ノイズ処理が良いのか、高感度域については他社のAPS機よりも好印象です。

 次に②についてですが、確かに色の諧調はフルサイズの方に幅を感じます。しかしXシリースには多彩なフィルムシミュレーションがあります。通常ならどれか一つは自分の好みに合う色が見つかると思います。客観的に見ればフルサイズの後塵を拝するかもしれませんが、ユーザーそれぞれの好みの色を見つけやすいのも、Xpro2のメリットだと言えます。

 ③④についてはフルサイズの高画素機の方が幅が・・という感はあります。しかし、③については、高画素の撮像素子に見合うレンズ(高い・大きい・重い)が必要になります。プロならともかく、私のような写真趣味の薄給サラリーマンが細かくこだわるのはあまり現実的ではないかと・・・ ④に関してもどうしてもRAWから自分の好みの画像に仕上げたいという方ならともかく、JPEGメインのユーザーなら、フィルムシミュレーションで十分にカバーできると思います。

 

 超高速で移動する被写体は撮らないし、中感度域までを常用している。でも名門ライカの代わりになるようなデザインのカメラが欲しい、という方には、フジXpro2は十分にお勧めできる写真機です。

 

神戸 メリケンパーク by taka-tanaka (ID:8468703) - 写真共有サイト:PHOTOHITO

上記作例の等倍画像を確認されたい方は、こちらからどうぞ。③以外はご確認いただけます。なお使用レンズは②はコシナの25mm・f4で、その他はフジXF27mmf2.8です。

 

 

 

 

映画「MINAMATA」

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今回は映画の話です。以下、フェイスブックの自分のページに書いた文章の転載です。

 

映画「MINAMATA」
公開日の翌日、仕事帰りに観てきました。写真家ユージンスミスの水俣での取材をジョニーデップ主演でハリウッドが映画化したものです。

私は一時期ユージンスミスの写真に傾倒していたことがあり、氏が使っていたのと同じカメラ(ミノルタのSRT101というカメラ。劇中でも小道具として使用されていました)を使っていたこともありました。「水俣に捧げた1100日間」もその時に入手したものです。そのため本作も予備知識のある状態で観ることができました。

 

【ドキュメンタリーではなく、ドラマ(真実を元にした物語)】
さて本編の方ですが、一部の方が指摘するように、史実と異なる部分や破天荒なところも確かにありました。
しかしクライマックス、悪態ばかりつくユージンスミスに嫌気が差していたライフ誌の編集長が、スミスから送られてきた、有名な「入浴する水俣の母と子」の写真に言葉を失い、見入るシーンは非常にドラマチックで、近くの席からすすり泣きが聞こえてきました(私も鳥肌が・・)。
日本人が公害を取り上げた作品を作ると、ひたすら事実に忠実な、重くて暗いドキュメンタリー、それこそNHKあたりで深夜にひっそりと放映されるようなものになりがちですが、それだと観る人も限られてしまいます。観る人が少なければ作品のメッセージ性も薄れてしまいます。
現在水俣病の認定を受けられずに苦しんでいる人には高齢の方が多いですが、認定基準があまりに厳しいとも言われています。
本作が反響を呼び、認定基準を見直すべきという世論が醸成できれば、今も苦しむ人達(しかもあまり時間もない)への救いにもなる。ジョニーデップが水俣病について、「過去のことではなく、現在も続いていることに衝撃を受けた」と語っていたことも勘案すれば、より多くの人達にこの問題を知ってもらうために、ドキュメンタリー色を薄め、敢えて脚色のあるドラマにしたようにも思えます。

明らかに事実と反するシーンもありましたが、それ以上に「MINAMATA」は、心揺さぶるドラマとして成立していると思いました。

 

【怒りと配慮】
興味深かったのは、チッソ社長の描かれ方です。「微量な毒なら無に等しい」という趣旨の、原発事故の汚染水を海に流そうとした人達と似たような屁理屈を展開するなど、途中までは完全に怒りの対象として描かれていました。
しかし、「入浴する水俣の母と子」の写真が掲載されたライフ誌を見た時、側近に、「別の方法を考えましょう」ともらして、うっすらと目に涙を浮かべます。「安易な改心劇」と批判する向きもあるようですが、私には安堵の涙に見えました。
経営者としては被害者救済の方向へ会社の方針を変更することは難しいが、それだと自分の心は痛む。しかし、水俣病患者の惨状が世界的に知られたことで、会社としても救済の方向に舵取りを迫られることになり、それは自分の心にも適う。そのことに救いを感じていたのではないでしょうか。
また、このシーンは、加害者対被害者という二者対立構造を緩和する意味もあると思います。
ただ公害を発生させた企業を怒りにまかせて批判するだけでは両者の溝を深めるだけで、患者の救済からかえって遠ざかってしまう。そこで最後にこのような場面を入れ、当時の対立感情が振り返すのを避けようとしたのではないでしょうか。
そのような配慮も私には感じられました。

 

ミノルタとのエピソードも描いてほしかった】
個人的に一つ残念だったのは、カメラマニアの間では有名な、ミノルタとの交流が描かれていなかったことです。
当時、ユージンスミスは来日した際、新幹線の中で撮影機材の置き引きに逢い、途方に暮れていましたが、それを助けたのがミノルタの広報担当者だったそうです。
困っていたスミスに同情し、独断で自社工場から高価なカメラとレンズ一式を持ち出し渡してしまいましたが、現在の感覚で云えば、稟議書も上げずに社用車を他人に譲渡するような行為です。下手をすれば法務担当者から背任の疑いもかけられます。
案の定社長から呼び出しを受け、叱責されることを覚悟して出頭したところ、叱られるどころか、逆に「よくやった。これで世界的な写真家とつながりが出来た」と誉めらたそうです。
更に付言すれば、チッソは熊本の有力企業なので、これと対立している写真家を援助すれば、自社の営業活動に影響が出ることも懸念されたはずです。
現在は人件費を削ることにしのぎを削るような経営者が多いですが、ミノルタの社長は男気のある方だったのでしょう。
全編緊張感がある作品ですが、ミノルタとのエピソードも取り込めば、もう少し楽に観れたと思います。

 

長文で失礼しましたが、個人的には、最近10年間で観た映画の中では最も見応えがありました。公開日から一月近く経ち、上映館も少なくなっているようですので、早目に観ることをお薦めします。

 

ニコンD40 鮮やかな青空を堪能できる600万画素CCD機

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D40の青色にはまるきっかけになった1枚(18-55mm f/3.5-5.6G ED IIで撮影) 

 

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気持ちよい青空を撮れます(18-55mm f/3.5-5.6G VR IIで撮影)

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露出アンダーですが、シャドー部は破綻していません(18-55mm f/3.5-5.6G VR II)

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とにかく青色が鮮やか。花びらや花弁の色も綺麗に出ています(18-55mm f/3.5-5.6G VR II)

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28㎜f2.8Dレンズ装着。AF-Dレンズだと機能に制約があります。

 今回は15年落ちのAPS機、ニコンD40です。600万画素CCD搭載機です。4000万画素機も出ている昨今、心もとない感もありましたが、本機の出す青色に魅了され、晴天時にはフルサイズ機よりも稼働率が高いカメラとなりました。

 

【CCD機は色鮮やか?】

 ネット上では、「CMOS機よりもCCD機の方が色が濃い」という話題をする人をよく見かけます。私も気になり、ニコンD60を試したことがあったのですが、CMOS機との違いが分からず、早々に手離してしまいました。

 その後しばらくCCD機のことは頭になかったのですが、たまたま立ち寄ったリサイクルショップでD40がズームレンズ込み約8000円で出ていたため急に気になり始め、その場でスマホを取り出し作例写真を検索。三原色系の色が濃厚に出ている作品群に魅入られ、すぐにゲットしてしまいました。

 最初、標準設定で撮影した時は平凡な印象でしたが、設定を「より鮮やかに」に変え、露出補正を-0.7にして青空を撮ったところ濃厚で鮮やかな青色が写り(1枚目の作例です)、すっかりこの古い機種の虜になってしまいました。

 このD40だけで比較すれば確かに、「CCD機の方がCMOSよりも色ノリがよい」と言えます。しかし、D60の色は普通でしたし、他の手持ちのカメラで見れば、ライカM8になるとむしろ控え目の発色です。「CCDだから色が濃い」というよりもカメラ内の画像処理エンジンによるところの方が大きいと思います。

 

【高感度は弱し AF-Dレンズとの相性も・・・】

 残念ながら、弱点もあります。まず、高感度域では現代のCMOS機に比べるとノイズが載りやすいです。発売当時は画素数を抑えた分だけ夜景向きと評価されていたようですが、個人的にISOは400に留めるようにしています。

 次に、レンズとの相性にも制約があります。ボディー内にモーターが搭載されていないため、フィルムAF一眼用に販売されていたAF-Dレンズではオートフォーカスが使用できません。もっともフォーカスエイドは使えるため、個人的にはあまり気にせず、小型の28㎜f2.8AF-Dレンズを使用しています。

 

【青空専用機】

 夜景には向かない、AF-Dレンズの機能をフルに発揮できないという制約はありますが、三原色系のカラフルな被写体、特に青空を綺麗に撮りたい方にはお勧めできます。私はD40のおかげで、天気が良い日には空を見上げることが楽しくなりました(笑)。     

 また、D40と同世代の機種にはCFカードしか使用できない物もありますが、本機はSDカード仕様のため、記録メディアのキープに苦労しないこともメリットと言えます。

 

今回の作例を等倍でご覧になりたい方はこちらをどうぞ(作例の2枚目から4枚目の写真はこちらでご確認いただけます)。


ところでD40のおかげで、「コダックブルー」を紡ぎだすと言われる、オリンパスのCCD機も気になり始めてしまいました。いずれE-300あたりも試してみたいと思います(また沼にハマっていく・・・)

ライカT 端正なデザインの写真機

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手に取りたくなる端正なデザイン


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地味な色の被写体が映えます


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立体感はよく出ています


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モノクロもなかなか


今回取り上げるのはライカT。2014年、ライカが創業100年の節目で発表したミラーレスカメラです。

 

【手に取りたくなる端正なデザイン】

 最大の特徴は自動車メーカーのアウディがデザインした、アルミ削り出しの美しいボディです。

 私がTを手に入れた最大の動機もデザインにあり、ヤフオクで発売時の4分の1ぐらいの価格で出ていた物を落札してしまいました。デジタルカメラのデザインとしては、私の中ではトップ3に入ります。

 ボディは薄く(33mm)、横幅と高さも134×69mmとコンパクトにまとまっていますが、手にするとズシリとした重さとひんやりとした金属の冷たさが感じられ、プラスチック外装のカメラでは得られない高級感を味わえます。

 

【発色は控え目で上品】

 手持ちの他のライカ(X1、M8)と同様、落ち着いた発色で、地味な色の被写体だと予想外に映えて撮れることがあります。彩度を抑えた絵作りが影響しているのか、モノクロで撮っても落ち着いた品のある描写をします。近距離撮影時の立体感もなかなかのものです(これはレンズにもよると思いますが)。

 

【高感度には強くない】

 X1同様、ISO800でノイズが出始めます。同じAPSサイズの撮像素子を持つ手持ちのカメラで比較すれば、富士のX-pro2は1250でも実用になります。手振補正機能もボディには電子式のもの(私の経験上、光学式のものよりも効果は薄い)しか備わっていないため、夜景撮影には不向きです。

  

【センサーダスト、その他気になったこと】

 中古での購入でしたが、使用開始後ひと月程度でセンサーダストが付着しました。ブロワーで吹いてみましたが、除去しきれず。ダスト払落機能も付いていないため、仕方なく近所のカメラチェーン店に依頼したところ、「ライカは店頭では対応していない」、「こちらから修理業者に依頼をかけることはできるが、数万円かかるかもしれない」とのご回答・・・

 がっかりしてライカジャパンのカスタマーセンターに連絡したところ、「お送りいただければ無料で対応できる」とのことでしたので、ほっとしました。が、国産機なら私が訪れたチェーン店でも店頭ですぐに対応してもらることがあります。

 Tに限ったことではありませんが、何か不具合が出た場合の対応に関しては、国産機に比べると不安があります。

 もう一点気になったのがストラップです。ストラップ取付け用金具の形が独特で、原則専用ストラップしか使えない仕様です(他のタイプのストラップを取り付け可能にできるラグも販売されていますが、5000円ぐらいします)。しかも付属のストラップはゴム製でホコリも付きやすい素材です。Tの端正なデザインにはそぐわない物だと思います。

  

【廉価のライカ

 Tはデザインを見て発作的に欲しくなり、ヤフオクで入手しましたが、約65000円でした。ライカ純正レンズは高額ですが、シグマから安いレンズも出ています。ノイズが載りやすいため暗所での撮影は勧められませんが、ライカらしい彩度を抑えた上品な描写は楽しめます。

 「とにかくデザインの良いカメラがほしい」、「憧れのライカを安く楽しみたい」という方にはお勧めできます。

 

等倍画像をご覧になりたい方はこちら

photohito.com

 

※ご注意

Lマウント専用レンズにまでは手が回らず(何せ金欠なもの(笑))、上記作例はすべてマウントアダブター+フォクトレンダーのレンズ(35mmf2.5 4枚目のモノクロ写真は25mmf4使用)によるものです。専用レンズを使えたのなら、評価が変わる可能性はあります。

 

 

 

 

 

手放せない銘機 ライカX1

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【近距離撮影時の絵は出色 発色も控えめで上品】

 やや柔らか目だが質感のある、低感度フィルムの画像を彷彿させる絵が撮れます。近距離から猫を撮ると、瞳や毛の一本一本もきちんと解像されていますが、それでいて優しい感じに写ります。フルサイズ機も含めていろいろな機種を使ってきましたが、このx1でしか味わえない描写です。

 発色は控えめで、品があります。モノクロでは、しっとりとした描写が楽しめます。

 以下は私が撮った写真です。等倍の画像もぜひ確認してみてください。

 

【高感度撮影には強くない。遠景もややねむい画像】

 他方、高感度域ではノイズが気になります。個人的にはISO800を上限にしています。遠景も同時期に発売されていたリコーGXR+18.3MM F2.5(これも評価の高いレンズユニットですね)と比較すれば、ややねむい写りです。夜間や風景の撮影にはあまり持ち出しておりません。

 

【手放せない銘機】

 本機は3年ほど前に購入しました。AF機能などは当時でも時代遅れで、画素数も1200万しかありません。カメラ買い替えの際、何度も手放そうと思ったのですが、モノとしての魅力(M6を所有していたこともありますが、高級感のある金属の質感はよく似ています。シャッター音も控えめで上品です)があり、そして何よりも近距離撮影時の絵が良いため、手放せないでいます。

 ライカとしては廉価ですので、近距離撮影が多い方にはお勧めできます。 

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